日本初のクレジットカード
普段の買い物や携帯電話の購入など日常的なものから、会社での事業費決済に至るまで幅広く活用されているクレジットカード。今では一人で何枚も所持し、目的別に使い分けることさえあります。
現代の日本において、クレジットカードが普及し始めたのはいつ頃なのでしょうか?
ここでは日本国内におけるクレジットカードの歴史についてご紹介していきます。
始まりは百貨店?
日本で初めてクレジットカードを導入した企業は百貨店としてお馴染みの「丸井」です。
当時の丸井のクレジットカードは、割賦販売のためにアメリカで普及しているクレジットカードを参考に作られたものでしたが、内容としては「完済証明書」のようなものでしかなく、現在のクレジットカードとは機能的にも程遠いものでした。
また同じ頃、百貨店である「高島屋」が三和銀行と業務提携を行いクレジットカードを発行しました。
こちらは利用者が三和銀行によって月5万円もしくは10万円の定額預金を組み、預金と同額の限度枠の中から高島屋で買い物ができるというものでした。
現金を持たずに買い物はできるものの、現在普及しているクレジットカードとは違い、便利な決済方法といえるものではありませんでしたが、当時の人々はそのカードを持っていることがステータスだという認識だったようです。
本格的なクレジットカードの普及
現代に続くクレジットカードの起源は、「日本ダイナースクラブ」が発行したものでした。
当時は東京オリンピックを見据えて、海外からの観光客や国内ごく一部の富裕層にのみターゲット絞り事業を展開していました。
そのため、クレジットカードはお金持ちのステータスという印象が根強く残ります。審査基準についてもアメリカのダイナースクラブと同程度のものだったようです。
その後、1970年代になると丸井などの百貨店も本格的なクレジットカード事業に参入していきます。現在丸井の発行している「エポスカード」ですが、当初は「赤いカード」の愛称で幅広い人々に親しまれていました。
この頃は他にも、多数の銀行系や信販系のクレジットカードが発行を開始した時期でした。
国際的なブランドJCB
日本ダイナースクラブによるクレジットカードの発行を受けて、株式会社日本クレジットビューローが設立されます。
これは現在のJCBの前身で、三和銀行(三菱東京UFJ銀行)と、日本信用販売(三菱UFJニコス)によって作られました。
当時のJCBは、富裕層のステータスとして扱われていたクレジットカードを、広く一般の人にまで普及させました。これによって多くの人が日常的にクレジットカードを利用して買い物をすることができるようになったのです。
現在ではあの「VISA」や「MasterCard」と並び、国際ブランドの一角を担うほどに成長を遂げました。
このように1960年代から現在に至るまで、多くの企業や銀行などがクレジットカードの新しい形を模索し続けてきました。
そうして現代の日本におけるクレジットカードの基準が確立していったのです。